気と経絡について
◆ 「気」って何なの?
漢方において絶対に外すことのできない物が「気」ということになります。それでは具体的に「気」というものについて考えてみたいと思います。
「気」それ自体は目に見える物ではありませんし、“これがそうです”と言って、手に触れて形を確認できるような物でもありません。要するに、「気」とはつかみ所が無いわけです。
我々が日常において何気なく使用している言葉にも「気」というものがよく使われています。当にこの「何気なく」というのもそうですね。少し例をあげてみると、「気分がよい」「気恥ずかしい」「無邪気」「気味が悪い」「活気がある」「陰気くさい」「殺気立つ」「陽気な人」「嫌気がさす」「気の毒」「小気味よい」……と様々です。それから、「気合いだぁー!」とか、「ちょう気持ちええ!」とかいうのもありましたよね。
とかく現代人は物事を数値で表したり、目に見える形で示さないと納得できない、信じられないという人も多いでしょう。このつかみ所のない「気」を治療で整えると言うのですから“お前の治療はうさんくさい?”なんて言われそうですけれど?(笑い)
しかし「気」とは、目には見えなくても必ず働きとして存在する物であり、それを我々は知らず知らずのうちに感じ取って、また利用しながら日々生活を送っていると言えます。私は視覚を失ってからは“物事の裏を見る”とか、“見えないものを見る”という、そんな所にこそ物事の心理・大事なものがあるのではないか?と思うようになりましたね。
では、具体的に「気」とは何なのでしょうか?
さしあたって「気」というものを定義すると、「宇宙を構成している最小単位の物質」と言うことになるでしょう。また、「自然を成立させている生命や物質のエネルギー」と言うこともできるでしょう。その事から言えば、人間もまた気を最小単位として作り出された生命体であり、エネルギーの固まりと見ることもできますね。つまり、あくまでも人間は自然の構成部分であり、自然の秩序や摂理に従っていれば、病気になりにくいという考え方ができます。ですから、より自然に近く、ありのまま、ごく自然体で生きることが気をうまく利用することであり、健康をを保つためには必要になってくるのです。
「気」とはやはり言葉などで語るよりは、心で身体で感じ取って行く物だと思います。
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